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アドバイザー選び10分2026年5月22日

M&A仲介とFAの違い:役割・報酬・利益相反から見る、自社に合った選び方

M&A仲介とFAの違い:役割・報酬・利益相反から見る、自社に合った選び方

M&Aの専門家は「仲介」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」に大別され、契約の立て方・報酬体系・利益相反の構造が異なります。どちらが優れているということではなく、取引の性格と当事者の目的によって向き不向きが分かれます。両者の違いを中立的に整理し、自社に合った専門家の選び方を解説します。

M&Aの専門家には「仲介」と「FA」がある

M&Aを進める際に伴走する専門家は、大きく「仲介(M&A仲介会社)」と「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」の2種類に分けられます。どちらもM&Aの成立を支援する点は同じですが、誰の立場に立つか、報酬を誰から受け取るかという基本構造が異なります。

結論を先に言えば、仲介とFAに優劣はありません。取引の規模や性格、売り手・買い手それぞれの目的によって、機能しやすい形態は変わります。本記事では両者の違いを中立的に整理し、自社の状況に照らした選び方の考え方を示します。アドバイザー選びの全体像は「M&Aアドバイザーの選び方:仲介会社・買い手FA・売り手FAの違いと選び方ガイド」もあわせてご覧ください。

契約構造の違い:双方を支援する仲介、一方に就くFA

仲介:売り手と買い手の双方と契約する

仲介会社は、売り手企業と買い手企業の双方とアドバイザリー契約を結び、両者の間に立って交渉や条件調整を行います。中立的な立場で取引全体をまとめ、双方が合意できる着地点を探るのが基本的な役割です。

FA:売り手か買い手の一方にだけ就く

FAは、売り手か買い手のどちらか一方とだけ契約し、その依頼者の利益を最大化することを役割とします。売り手側に就けば「売り手FA」、買い手側に就けば「買い手FA」と呼ばれます。依頼者の代理人として、相手方と条件を交渉する立場です。

同じ取引でも、仲介は1社が双方を担い、FAは売り手側・買い手側にそれぞれ別のアドバイザーが就く構図になります。この契約構造の違いが、後述する報酬や利益相反の違いの出発点になります。

報酬体系の違い:レーマン方式は共通、誰から受け取るかが異なる

M&Aの成功報酬は、仲介・FAともに「レーマン方式」と呼ばれる、取引金額に料率を段階的に乗じて計算する方法が一般的です。この計算の枠組み自体は両者で大きく変わりません。

違いは、報酬を誰から受け取るかにあります。仲介は売り手・買い手の双方から報酬を受け取るのが一般的で、FAは契約した一方の当事者からのみ受け取ります。加えて、着手金・中間金・月額報酬(リテイナー)の有無は会社ごとに異なり、最低手数料が設定されているケースも多くあります。

手数料は形態の名前ではなく、契約書に記載された算定方式・最低額・支払いタイミングで判断することが大切です。料金構造の詳細は「会社売却の手数料の仕組み:仲介モデルとFAモデルの料金構造を整理する」で具体的に解説しています。

利益相反の論点:構造の違いを正しく理解する

仲介とFAを語るうえで避けて通れないのが、利益相反の論点です。ここは中立に、双方の構造を理解しておくことが重要です。

仲介は双方から報酬を受け取るため、「売り手には高く、買い手には安く」という相反する利益を同時に最大化できない構造上、利益相反の指摘を受けることがあります。一方で、双方の事情を把握して着地点を調整できるため、交渉がまとまりやすく、スピードや当事者間の関係維持の面で利点があります。

FAは一方の利益のみを追求するため、依頼者にとっての利益相反は生じにくい構造です。ただし双方にFAが就くと交渉が対立的になりやすく、まとまるまでに時間や調整コストがかかる場合があります。また売り手・買い手の双方が必ずFAを立てるとは限らず、相手方が仲介や別の形態のこともあります。

どちらの構造にも長所と短所があり、「仲介だから不利」「FAだから安心」と単純に断じられるものではありません。重要なのは、自分が依頼する専門家がどの立場に立ち、どこから報酬を得ているかを理解したうえで付き合うことです。

どちらが向いているか:取引の性格と目的で考える

どの形態が機能しやすいかは、取引の性格と当事者の目的によって変わります。あくまで一般的な傾向として整理します。

仲介が機能しやすいケース

後継者不在の事業承継など、売り手・買い手の双方が円満な成立を重視する取引では、双方の橋渡し役となる仲介が機能しやすい傾向があります。中小企業のM&Aでは、買い手の探索から両者の調整までを一社で担える利便性が評価されてきました。事業承継型の意思決定は「事業承継 vs M&A:後継者問題に直面した経営者の意思決定フレームワーク」も参考になります。

FAが機能しやすいケース

譲渡条件を最大限に追求したい、複数の買い手を比較して条件を引き上げたい、あるいは取引金額が大きく交渉が複雑になるといった場合は、自分の側の利益だけを代弁するFAが力を発揮しやすい傾向があります。

日本の中小M&Aの実態:仲介が広く使われてきた背景

日本の中小企業M&Aでは、歴史的に仲介が広く使われてきました。売り手・買い手の双方が専門家を立てる文化が定着しておらず、相手探しから条件調整までを一社に任せられる仲介の利便性が、後継者不在に悩む中小オーナーのニーズに合致してきたためです。

一方で、利益相反への懸念から、中小企業庁は「中小M&Aガイドライン」やM&A支援機関登録制度を整備し、手数料や利益相反に関する情報開示を求める流れが強まっています。売り手・買い手がそれぞれの代理人を立てるFA型の取引も、徐々に広がりを見せています。

つまり、仲介とFAは対立する選択肢というより、取引の成熟度や規模に応じて使い分けられていくものと捉えるのが、実態に近いといえます。

形態より大切なこと:スタンスと情報開示を確認する

仲介かFAかという形態の区別は出発点に過ぎません。実際には、同じ会社・同じ担当者でも、案件によってスタンスが変わることがあります。重要なのは、契約前に次の点を確認することです。

・自分はどの立場(仲介/売り手FA/買い手FA)で支援を受けるのか

・報酬を誰から、いくら、どのタイミングで受け取る契約か(着手金・最低手数料を含む)

・専任義務や他社への相談可否、利益相反が生じる場合の対応方針

・想定する業種・規模での支援実績

これらを率直に開示し、こちらの目的に沿って説明してくれるかどうかが、信頼できる専門家を見極める実質的な基準になります。契約前の具体的な確認質問は「同じM&A会社でも、案件によってスタンスは変わる:契約前に必ず確認したい5つの質問」で詳しく解説しています。

まとめ:仲介とFAに優劣はない。目的と透明性で選ぶ

M&A仲介とFAは、契約構造・報酬の受け取り方・利益相反のかたちが異なるだけで、どちらが優れているというものではありません。双方の橋渡しで円滑な成立を目指すのか、自分の側の条件を最大化するのか。取引の性格と自社の目的に照らして、機能しやすい形態を選ぶことが本質です。

M&Aプロフェッショナルズには、さまざまなスタンス・得意領域を持つM&Aアドバイザーが掲載されています。形態の名前だけで選ぶのではなく、自社の目的・状況を整理したうえで、相性の合う専門家を比較・相談することをおすすめします。掲載アドバイザーへの相談からお気軽にご活用ください。

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