
建設業のM&Aは、建設業許可・技術者の在籍状況・公共工事実績・経審点数(経営事項審査)など、業界特有の評価軸が中心です。後継者不足が深刻化する地域の中小建設業の事業承継M&Aの実務を解説します。
建設業界は、技能者・技術者の高齢化と若手不足、経営者の後継者問題が同時進行する業界です。特に地方の中小建設業の事業承継M&Aは、ここ数年急速に増加しています。
買い手側は、大手ゼネコン・地域の競合・異業種参入企業(不動産・インフラ系)が中心。狙いは、建設業許可・技術者・公共工事の入札参加資格・地域における信用力・既存取引先関係の獲得です。
建設業のM&Aで最重要となるのが「建設業許可」です。29業種ある建設業許可のうち、対象企業が保有する許可業種・等級(特定建設業/一般建設業)が、買い手にとっての評価の基礎となります。
M&A時の許可承継:【1】株式譲渡:許可は法人に紐づくため自動承継。【2】事業譲渡:許可は承継できず、新規取得が必要。原則として株式譲渡スキームが採用されることが多い理由の一つ。
【許可維持の要件】専任技術者(一定の資格・実務経験を持つ技術者)の在籍が必須。経営業務管理責任者(経営経験を持つ者)の存在も必要。これらが欠けると許可取消リスクがある。
公共工事の入札に参加するために必要な「経営事項審査(経審)」の総合点数は、買い手にとって重要な評価指標です。経審点数は、経営状況(Y)・経営規模(X)・技術力(Z)・社会性・その他(W)の総合評価で決まります。
経審点数が高い会社は、より大規模な公共工事入札に参加できるため、買い手にとって魅力的です。M&A時点での経審点数だけでなく、過去3年の推移と今後の見通しを準備しておくことが重要です。
建設業の許可維持に必要な「専任技術者」、現場配置に必要な「主任技術者・監理技術者」、特殊技能者(鉄筋工・型枠大工等)の在籍状況が、買い手評価を大きく左右します。
事前準備:【1】技術者一覧(資格・実務経験・年齢)の作成 【2】技術者の定年到来時期と後任育成計画 【3】若手技術者の採用・育成実績。
買い手は「この会社を買えば、この技術者たちは継続雇用されるか」を最も気にします。技術者個別の継続意向を、M&A交渉終盤で確認することも実務的に重要です。
過去3〜5年の発注者別(国・県・市町村別)受注実績。継続受注の関係性。
大手ゼネコンの下請受注、地域の不動産デベロッパーとの関係。
適正な労務単価を確保しているか、現場原価管理の精度。買い手は粗利率の安定性を重視。
建設業M&Aは、許可・技術者・実績という業界特有の評価軸で進みます。事前準備の段階で、これらを整理して買い手に分かりやすく提示できるかが、評価倍率の差を生みます。
M&Aプロフェッショナルズに掲載されている買い手FAの中には、建設業M&Aの経験豊富な専門家がいます。費用は一切かかりませんので、お気軽にご相談ください。